気候変動に伴い、北極圏のツンドラは二酸化炭素の純排出源へと
変貌しつつある。国立環境研究所の調査によると、
深刻な永久凍土の融解と頻発する山火事が、この現象の背後にある。
―永久凍土の融解で温室効果ガス放出―
2024年には、シベリアの約60%で永久凍土の温度が過去最高を記録した。
永久凍土が融解すると、何世紀にもわたって閉じ込められていた
有機物が分解され、二酸化炭素(CO₂)とメタン(CH₄)が放出される。
メタンは二酸化炭素よりも25倍以上も温室効果が強く、
気候変動への影響が懸念される。
―山火事がさらに排出量悪化―
北極圏では異常気象に伴う山火事が急増している。2024年は、
北極圏全体で観測史上3番目に多い排出量が記録された。
山火事は植物や土壌の炭素を一気に燃焼させ、
温室効果ガス排出量をさらに悪化させる。
―「負のサイクル」に陥るツンドラ―
ツンドラ地帯はかつては、植物による光合成を通じて二酸化炭素を
吸収する「炭素吸収源」だった。しかし、永久凍土の融解と
山火事が頻発することにより、吸収される炭素を大幅に上回る
排出サイクルが発生している。ツンドラはもはや炭素の吸収源ではなく、
純粋な「排出源」へと転じているのだ。
―地球全体への影響と対策―
北極圏の変化は、地球全体の気候システムに深刻な影響を及ぼすと
専門家は警告している。ツンドラの炭素排出量を抑えるためには、
―世界的な温室効果ガス排出削減―が不可欠だ。科学者たちは
排出量の監視を強化し、気候変動の影響に対抗するための
対策に現在もなお取り組んでいる。
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