今年1月29日に迎える旧正月
(テト・グエン・ダン)
は、ベトナムの大切な伝統行事でもある。
しかし、近年多くの若者にとって、
旧正月は大きな不安の種と
なっているようだ。
経済的なプレッシャー、社会的な期待、
家族の義務などが重くのしかかり、
楽しいはずの祭日に精神的な
サポートを求める人も増えている。
ハノイのメンタルヘルスの専門家は、
祝日までの数週間でカウンセリングの
依頼が大幅に増えたことを報告している。
ベトナム幸福アカデミー協会の心理学者
グエン・フオン・ラン氏は、今年の
問い合わせが昨年と比較して
30%増加したことを報告した。
彼女は、テトをストレスではなく、
家族の喜びの時ととらえ直すことの
重要性を強調。
若い労働者の一人であるハンさんは、
家族団らんの中で結婚に関する
しつこい質問によって引き起こされる
不安との葛藤を分かち合った。
年末の仕事の締め切りと家族の期待が
重なり、彼女はマイフオン精神病院で
不安症の治療を受けることに
なってしまった。
社会生活研究所の心理学者、
グエン・ドゥック・ロック氏は、
25歳以上の人はテト関連のストレスに
特に弱い、と考えている。
一般的な引き金となるのは、経済的安定、
仕事のボーナス、配偶者の有無などに
関する過度の期待である。
2023年の調査では、回答者の44%が
テトに関連する高額な出費を負担に感じ、
27%が収入について質問されることに
不安を感じていることが明らかになった。
また、26%は恋愛関係の質問による
ストレスを挙げ、休暇中に働かなければ
ならないことへの懸念を示す人も
少なからずいた。
どうやらベトナムの伝統的な家族の
価値観と、都市生活者の個人主義的な
ライフスタイルとの衝突が、この緊張を
悪化させているようだ。
農村部の年配の親戚は、個人的な質問を
気遣いの表現とみなすことが多いが、
若い世代はそれが押しつけがましいと
感じている。
専門家は、この時期にストレスが長引くと、
肝機能障害、うつ病、不安障害など
深刻な健康被害をもたらす可能性が
あることを警告している。
こうした問題に対処するために、心理学者の
グエン・ティ・タムは、境界線を設定し、
不快な質問に対してユーモラスな
視点を取り入れ、セルフケア活動を
優先することを勧めている。
急速に変化する社会の中で、伝統と
現代性が交錯するベトナムの
若者にとって、テト期間中にバランスを
見つけることは喫緊の課題と
なっているようだ。
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