サルが3000万年以上前にアフリカから
南アメリカまでイカダで航海していたことを
示す新たな証拠が発見された。
ペルーでの発掘調査により、現在は絶滅した
霊長類の化石から、太古のサルが自然の
いかだで900マイル以上移動していた事実が
明らかになったのだ。
リオ・ユルアで
ラフティングをする研究者たち:
Dorien de Vriesペルーのユルア川で、
3,200万年前の化石発掘現場に浮かぶ
研究者たち:
現代のサルは非常に賢いが、ペルーと
ブラジルの国境付近で発見されたこのサルの
化石は、彼らの祖先がどれほど賢かったかを
我々に教えてくれる。
最新の研究によると、いまは絶滅してした
古代のサルの一団が、3500万年前、
自然のいかだで大西洋を渡り、アフリカから
南アメリカへと到達していたことが
判明したのだ。
スミソニアン誌によれば、現在の
オマキザルやウーリーモンキーの祖先は、
草木や土のマットの上に浮かんで
西半球に到達したという話だ。
『サイエンス』誌に掲載された
南カリフォルニア大学の研究では、今では
絶滅したまったく別の種が、いかだに乗って
海の上を航海していたと推測している。
CNNによると、専門家は現在、
ウカヤリピテクス・ペルディタと呼ばれる
この先史時代のサルの祖先である
パラピテクス類は、熱帯雨林の暴風雨の中、
900マイルもの長距離を旅していたという。
推測される事実としては、彼らの小柄な
体格が、このような危険な旅を
生き延びることに適していたかもしれない、
ということだ。
ウカヤリピテクス・ペルディタの
スキャン画像:
Erik Seiffertアマゾンで発見された
臼歯の化石のスキャン。
「このような状況では、
ウカヤリピテクスのようなサイズの
非常に小さな動物は、大型の哺乳類よりも
有利であったかもしれない」
「化石記録で確認されている水上散布の
ほとんどが、非常に小さな動物を
対象としているのは、おそらく
このためかもしれない」
とセイファートは付け加えた。
セイファートは、ペルーのユルア川の
ほとりで、この第二の霊長類グループの
4本の歯の化石を発見した。
この古生物学者が3200万年前の岩石から
その証拠を発掘するまで、このグループの
サルたちはアフリカにしか
生息していなかったと考えられていた。
ウェイクフォレスト大学の
古脊椎動物学者エレン・ミラーは、
「パラピテクス類の歯は特徴的で、
ペルーで化石として発見された歯が
他のサルや動物に生えた可能性は
極めて低い」
と説明している。
おそらく最も驚くべきは、
ウカヤリピテクスが乗り物による移動の
手段を確立していたことだろう。
「いかだ」は、厳しい気象条件の中で
海岸線から離れた土の破片だったと
サルたちは考えていたのではないだろうか。
そして、この機知に富んだ小さな
霊長類たちは、この小さな浮島に乗り込むと、
そのまま新世界を目指して長い
航海の旅へと出た。
ペルーで洗浄された土砂を乾燥させる:
Erik Seiffertブラジルとの国境に近い
ペルーの研究者たちが、基本的な手法で
堆積物を天日干ししている。
大西洋横断を生き延びた 「移民 」哺乳類は
他に2種しかいない、というのが
研究者たちの一般的な見解のようだ。
新世界ザル
(プラティル霊長類)
-現在南アメリカと中央アメリカに生息する
5科の平鼻猿類-がこの始祖のサルにあたる。
そしてもうひとつの種は、カピバラなどの
動物の祖先である齧歯類の一種で、
キャビオモーフと呼ばれている。
現在では絶滅してしまったこれらの
霊長類は、アフリカ大陸と南米大陸の間の
距離が930~1,300マイルだった
始新世後期に移動を開始した。
この距離でもかなりの移動距離ではあるが、
現在の1,770マイルと比較すれば、
やや彼らにとっては有利な旅路だったと
言えるだろう。
「霊長類が長距離、あるいは中距離を
船に乗ることに、誰もが
首をかしげると思う」
とミラーは語る。
「理解するのが難しいかもしれないが、
キツネザルやテンレックのような
動物たちは、アフリカ大陸から
マダガスカルまで、同じような自然の
いかだで移動していた。
もちろん、それは260マイルほどの
距離しかない。
しかし、彼らが植物のかけらを使って
島や大陸を移動したという説は、
まさに事実なのだ」
セイファートの説明によれば、始新世後期は
世界的な寒冷化の時期でもあり、
ヨーロッパ、アジア、北米の多くの古代の
霊長類たちが絶滅していったという。
海を渡る別のルートがあったという
証拠はないが、ザイファート自身は
そのことに疑問を持っていた。
「パナマ運河に浮かぶ植物のマットの
映像を見るまでは、正直言って、
動物たちが船に乗ることに対して
疑いを持っていた」
2010年、パナマ運河に浮かぶ
自然のいかだの映像:
とはいえ、これはこれらの動物たちにとって
快適な旅ではなかったようだ。
研究者たちは、当時激しい嵐があり、サルは
いかだの木にしがみつき、渦巻く嵐の混乱を
避けていたと考えられている。
総論として、つまり今回の発掘調査で
発見されたこれらの化石は、南アメリカの
古代生態系パズルの貴重なピースを
追加することになるということだ。
「ウカヤリピテクスが発見されたことで、
私たちはこの100年ほどの間、霊長類の
進化の年代記の1章を見逃していたことが
明らかになった。」
と最後にザイファートはつけ加えた。
0 件のコメント:
コメントを投稿