最近の研究では、市場全体の方向性とは
関係なく、特定の銘柄が市場を
下方向にけん引する可能性が
高いことが示されている。
ケント・ダニエル
(コロンビア大学ビジネススクール)
アレクサンダー・クロース
(キール大学)
サイモン・ロットケ
(アムステルダム大学)
による
「不一致の力学」
と題された研究では、空売りが難しい
銘柄やコストが高い銘柄はその実質的価値と
比較するとおおむね割高となる傾向があり、
その後業績が低下することが示されている。
空売りとは、株式を借りて売却した後に、
より低い価格でその株式を買い戻して
利益を上げることを目指すものである。
しかし、空売り可能な銘柄が
限られていたり、空売りコストが
高かったりして、空売りしにくい銘柄は、
空売りを躊躇し、割高になる
可能性がある。
研究者らは、このような銘柄を
2つのカテゴリーに分類した:
1. 制約された勝者:
過去1年間に大きく株価が上昇したが、
空売りが難しいとされる銘柄。
このような銘柄は通常、今後5年間で
低調な株取引の実績を示す。
2. 制約された敗者:
過去1年間で大幅に下落した銘柄で、
空売りも難しい。
これらの銘柄は、その後12ヶ月間、
株取引が低調になる傾向がある。
2021年初頭のゲームストップがその例だ。
空売りが株式の借り入れを困難に
したこともあり、株価は
ファンダメンタルズの価値以上に高騰した。
その結果、ゲームストップの株価は
その時期のピークを大幅に
下回るものとなった。
投資家たちは、空売りが困難な銘柄には
注意を払う必要があることを警告している。
株式市場全体の動向にかかわらず、
割高でパフォーマンスが低下する
可能性がある空売りに制約がある株式は、
かなりの警戒感を持って取引することを
心掛けるべきなのかもしれない。


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