ガーナは1992年の民主主義復活以来、9回の国会議員選挙を
実施している。憲法は政党活動における
社会的アイデンティティの露骨な利用を禁止しているが、
民族と宗教は常に重要な役割を果たし続けてきた。
2024年の選挙では、30年以上ぶりに、異なる宗教の2人の
有力政治家が最大政党を率いた。イスラム教徒の
マハムドゥ・バウミア氏とキリスト教徒のジョン・マハマ氏だ。
バウミア氏は現副大統領で新愛国党を率い、
マハマ氏は元大統領で国民民主会議の党首でもある。
ガーナの選挙において、宗教は有権者の動員に重要な
プラットフォームとして現在機能している。特に選挙戦において、
政党の運命は宗教の影響を大きく受ける可能性がある。
1992年の民主化以来、キリスト教徒とイスラム教徒は
政党内で強い影響力を持ちだした。候補者は教会や
モスクを訪れて支持を呼びかけることに多くの時間を費やす。
ガーナには70を超える民族が存在し、その異なる宗教観の
民族同士の投票がガーナの選挙結果に大きく影響すると言える。
現在、ガーナの人口の47%を占めるアカン族が
最もこの国で影響力を持つ民族になっている。
先程挙げた、新愛国党と国民民主会議の二大政党は、大統領候補と
副大統領候補の民族バランスに配慮した健全な政治を行っていると
言えるだろう。
ガーナの選挙における民族と宗教の影響は非常に明白で、多民族集団は、
自分たちのグループの利益を代表する候補者を当然のように
支持する傾向がある。 例えば、1954年の選挙で、
アカン族主導の新愛国党はアシャンティ地方で圧倒的な勝利を収めた。
同様に、エウェ族主導の国民民主会議はボルタ地方で
高い支持率を集めているのだ。
ガーナの民主主義の発展に伴い、民族的・宗教的分裂を
最小限に抑える必要性がかなり重要視されるようになってきた。
適切に選挙が管理されなければ、選挙期間中に民族的・宗教的衝突に
つながる可能性が多分にある。
宗教指導者と伝統的指導者は、平和で礼儀正しい選挙運動を
推進するよう今、ガーナでは求められている。政治指導者は
民族間の対立を煽動するのを避けなければならない。
また、国家機関と市民社会組織は、開発援助機関や
社会団体の支援を得て、市民教育を強化する必要がある時期に
差し迫っているのではないだろうか。
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