ハイチにおいて、ギャングによる児童の勧誘が前例のない規模で
増加していることが、ユニセフの報告書で明らかになった。
過去1年間で、標的となった未成年者の数は70%も急増しており、
ギャングメンバーの30~50%が子どもであると推定されている。
この急増は、政治不安定と貧困の悪化、そしてポルトープランスに
おけるギャングの勢力拡大が背景にある。ギャングは、
少年を密告者や戦闘員として、少女を家事手伝いや
性的奴隷として利用している。多くの子供たちは、
貧困や家族の危機を逃れるために、あるいは
脅迫された末に、ギャングに加わることを余儀なくされている。
ユニセフのハイチ代表、ギータ・ナラヤン氏は、子供たちが
自発的にギャングに加わっているわけではないと強調する。
彼らは、極度の貧困や、ギャングによる脅迫、誘拐、
家族の分離といった様々な要因によって、絶望的な状況に
追い込まれている。中には、ギャングから高額な報酬を
受け取っている子供もいると報告されている。
ギャングによる勧誘は、ドミニカ共和国からの強制送還者など、
脆弱な立場にある子供たちを特に狙っている。さらに、
ギャングへの対応として発生している自警団による活動も、
子供たちの安全を脅かしている。自警団は子供たちをスパイと疑い、
殺害するケースもあると指摘されている。
最近では、高級住宅街への襲撃事件で、子供を含む
複数の犠牲者が出たことが報告されている。この事件は、
ハイチの治安悪化と社会崩壊の深刻さを改めて示している。
学校閉鎖による教育機会の喪失や、70万人以上にも上る
避難民の発生も、子供たちを危険にさらす大きな要因の一つだ。
子供たちがギャングから抜け出すには、様々な支援が必要ではないか。
自身でギャング団の環境から脱出する子供もいるが、その後の
非営利団体による救出や、医療・心理的支援といった
ケアが必要不可欠になってくる。しかし、その子供たちの社会復帰には、
長い時間と地道な努力が必要となる。
ハイチの現状は、貧困、暴力、そして社会構造の崩壊が、
子供たちを絶望の淵に突き落としていることを
示していると言える一つのモデルケースと言えるのでは無いだろうか。
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