―2024年12月14日―
太平洋地域の17カ国を代表する
―太平洋諸島フォーラム漁業機関(FFA)―は、
気候変動がもたらす危機的な状況に直面し、国際司法裁判所(ICJ)に
強い行動を求める声を上げた。FFAのピオ・マノア副事務局長は、
気候変動が太平洋地域のマグロ資源を含む海洋生態系に
深刻な影響を与えている現状を訴え、
「気候変動は私たちにとって
単なる環境問題ではなく、生存の問題だ」
と述べた。
:マグロ資源の減少と経済的影響
FFAは、気候変動が海水温の上昇や酸性化を引き起こし、
マグロの分布が加盟国の排他的経済水域(EEZ)から東側の
公海に移動することを懸念している。この移動は、
漁業収入に大きく依存している地域経済に直接的な
打撃を与えるだけでなく、地域住民の食糧安全保障をも脅かしている。
科学的な研究によると、温室効果ガスの排出が現状のまま続けば、
2050年までにマグロのバイオマスが最大13%減少し、
マグロ漁業からの収入が20%減少する可能性があるとのことだ。
これにより、小島嶼開発途上国(SIDS)の経済的基盤が
大きく揺らぐ恐れがある。
:保全努力とその危機
FFAは過去45年にわたり、世界をリードする持続可能な
漁業管理を実施し、多額の投資を行ってきた。この努力により、
地域と世界の食料システムのためにマグロ資源を保護してきたが、
気候変動がこれらの成果を脅かしている。マノア氏は
「私たちの政府にとって漁業は重要な収入源であり、
太平洋の世帯の47%が漁業に依存している」
と述べ、国際的な支援を求めた。
:海面上昇と文化への影響
気候変動の影響は漁業だけにとどまらず、地域全体の生活や文化にも
波及している。海面上昇による島嶼部の物理的な消失や
サンゴ礁の劣化は、地域住民の伝統的な生活様式を損ない、
移住を余儀なくされるケースも増えている。
「気候変動は、私たちの土地や伝統、文化をも危険にさらしている」
とマノア氏は語る。
:国際社会への訴え
FFAは、温室効果ガス排出量を削減するための国際的な
行動を促すと同時に、パリ協定の目標遵守の重要性を強調した。
「太平洋はこの地球資源を守るために尽力してきた。
今、国際社会には私たちの未来を守るための
具体的な行動を求めている」
と述べ、持続可能な未来への道筋を示した。
この訴えは、気候変動を「最大の安全保障上の脅威」として認識する
太平洋諸島諸国の広範な要望と一致しており、
国際司法裁判所がどのような判断を下すか、今後注目が集まっている。
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