過去10年間、サヘル地域と西アフリカにおける
牧畜業は、地元政府と国際的なパートナーの
支援により、大きな発展を遂げてきた。
この地域の2,000万人以上の人々の生活に
欠かせない、この古くからの牧畜産業は
サヘル諸国のGDPの15%を占め、経済に
大きく貢献してきた。
しかし、気候変動や地政学的な変化といった
外的圧力は、牧畜の持続可能性に新たな
課題を突きつけており、世界的な
コミットメントと支援の強化が
求められているのが現状だ。
2013年、サヘルの牧畜コミュニティは、
牧畜セクターで深刻化する困難に
対処するための、協力的な取り組みである
ヌアクショット宣言によって、極めて
重要な局面を迎えた。
この宣言は、地域サヘル牧畜支援プロジェクト
(PRAPS)
の創設へとつながり、2024年現在、
獣医サービス、資源管理、市場接続などの
分野で重要なマイルストーンを達成している。
この宣言によって、6億頭以上の家畜が
ワクチン接種を受け、数百万ヘクタールの
土地が確保され、何千もの新しい
水場が作られた。
また、こうした成果にもかかわらず
新たな脅威も生まれている。
気候変動は砂漠化と不規則な降雨パターンを
悪化させ、政治的不安定と暴力的紛争は
増加の一途を辿っている。
過去10年間の調査で紛争が増加し、暴力が
25%増加したと報告する地域もある。
こうした課題は、動物の移動制限や競合する
土地利用パターンによってさらに
深刻化している。
2024年11月に開催された
ヌアクショット+10ハイレベル・
フォーラムでは、こうした課題への対応に
改めて取り組むことが呼びかけられた。
同フォーラムでは、牧畜ルートの保全、
ガバナンスの枠組みの改善、地方自治体の
役割強化の重要性が強調された。
また、持続可能な牧畜システム、
気候変動への耐性、女性と若者の経済機会の
多様化にも重点が置かれた。
サヘル地域の牧畜システムは、安定と
回復力の礎となっていると言えるだろう。
今後、政府、開発パートナー、民間セクターが
それぞれに合った投資と協力を行うことが、
この地域の牧畜の未来を守るために
必要不可欠なのではないだろうか。
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