タイタニック号で人骨が見つからない理由：

タイタニック号は1912年に悲劇的な

沈没事故を起こし、約1,500人の命が失われた。

特に映画監督のジェームズ・キャメロンが

撮影の際に沈没船を何度も探索するなど、

何度もこの沈没した船に人が訪れているが、

未だに人の骨は発見されていない。

タイタニックに33回潜ったキャメロンは、

「私は人骨を見たことがない」

と語る。

衣服や靴のような身の回りの品は

いくつも見つかっているが、実際の人骨は

なぜかこの船の中には見当たらない。

この船は、現在海面下約12,500フィートの

場所に沈んでいる。

このような深海では、骨の主成分である

炭酸カルシウムが飽和していない状態だ。

つまり、いったん軟組織が分解すると、

海洋の化学的性質によって

骨が溶けてしまうことになる。

1985年に沈没したタイタニック号を

発見した海洋学者ロバート・バラードは、

約3,000フィート以下の海の中では

「深海の水は炭酸カルシウムが

　飽和していない状態」

のため、露出した骨が溶けてしまうと

説明している。

タイタニック号よりも古い難破船から

人骨が発見された例はあるが、

タイタニック号が沈んだ場所特有の条件

（極度の深度、圧力、海洋の化学組成）

により、どうやらこの沈没船の人骨は

現在存在していないようだ。

靴や衣服のような遺物は、失われた命の記憶を

はっきりと呼び起こすものだが、深海の

過酷な環境のためか、未だにこの船では

人の骨が見つかることはない。