クジラは気候変動の秘密を解き明かす「海のセンセイ」だ。
彼らは、海洋全体に大きな影響を与える
「指標種」であり、その行動や生態系への影響を
調べることで、気候変動への脅威が明らかになる。
南アフリカのヘルマナスは、クジラ観察の名所として
知られるだけでなく、クジラに関する最先端の
研究場所でもある。プレトリア大学哺乳類研究所の
「クジラユニット」が、GPSタグや
CTD(電気伝導度・水温・深度)タグを駆使して、
クジラの行動や生態系への影響を現在調査している。
最近の調査の結果、南極セミクジラがかつてよりも痩せ、
繁殖間隔が延びていることが判明した。この変化は、
気候変動の影響で餌場が変化し、クジラが新しい餌を
探さざるを得ない状況になっていることが関係していると
見られている。
さらに、CTDタグを使用した研究では、クジラが驚くほど
深い海(最大460メートル)に潜り、1年で15,000キロ以上
移動することがわかった。このデータは、クジラの餌場である
海域の環境特性を明らかにすることに極めて役立っている。
これらの研究成果は、クジラが「海洋環境の見張り番」として、
気候変動の影響をいち早く察知していることを示唆している。
クジラのデータは、海洋生態系の未来を予測し、
保全活動の必要性を認識するために重要な役割を
果たしていると言えるだろう。
最新の技術を活用した研究は、クジラが語る気候変動の脅威を
より深く理解し、海洋環境を守るための対策を講じる上で
必要不可欠だ。クジラは、私たちに海の健康状態を伝え、
未来の世代のための持続可能な海洋生態系を
守っていくための重要な存在なのだ。
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